日本の新進作家展「見るまえに跳べ」とは
東京都写真美術館では、2002年より写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、将来性のある作家を発掘するとともに、新たな創造活動を紹介することを目的として「日本の新進作家」展を開催してきました。
20回目となる本展では、5人の作家を取り上げ、不確かな時代を生き抜くための原動力を探っています。
場所
東京都写真美術館の3Fで開催されています。。
東京都写真美術館は、恵比寿ガーデンプレイス内にあります。
アクセス
- JR山手線「恵比寿駅」東口 徒歩5分
- 東京メトロ 日比谷線「恵比寿駅」1番出口 徒歩7分
開催期間
2023年10月27日(金)~2024年1月21日(日)
休館日
毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(12/29-1/1)
料金
- 一般 700(560)円
- 学生 560(440)円
- 中高生・65歳以上 350(280)円
※( )は有料入場者20名以上の団体、当館の映画鑑賞券ご提示者、年間パスポートご提示者(同伴者1名まで)、各種カード会員割引料金。
作家の紹介
渕上雄太
1987年、岐阜県生まれ。2014年名古屋ビジュアルアーツ写真学科卒業。六本木スタジオを経て独立。2016年より上野界隈に集まる人々を撮影した〈路上〉シリーズを継続的に発表。
星玄人
1970年、神奈川県生まれ。2000年、現代写真研究所修了。主に新宿、横浜、大阪市西成区などで撮影。街に通い詰めることでしか出会えない人々を独特の距離感で写した写真が強い存在感を放つ。
夢無子
1988年、中国生まれ。世界60カ国以上をスーツケースひとつで放浪。「Kaguya by Gucci」などの広告写真、劇場写真、映画など幅広い分野の撮影を手がける。写真、映像、インスタレーション、空間体験等により、表現の可能性を模索するビジュアルアーティスト。
うつゆみこ
1978年、東京都生まれ。早稲田大学中退、東京写真学園 写真の学校・プロカメラマンコース修了。松濤スタジオ勤務を経て、2005年頃より作家活動を始める。2006年より写真の学校講師。動物や昆虫、植物、オブジェやフィギュア、図版などを組み合わせて、対象から得たインスピレーションにより作品を制作。
山上新平
1984年、神奈川県生まれ。東京ビジュアルアーツ卒業後、イイノ・メディアプロ入社。2010年より活動。
作品と感想
私は、この写真展に1月3日に行きました。お正月のバタバタも一通り終えて、テレビにも飽きてくる時期で東京写真美術館で開催されているのを知っていたので、「ホンマタカシ」さんの写真展と一緒にゆっくり回るつもりでいました。
東京写真美術館に着いて、初めて知ったのですが、お正月3日までって、無料で入れるんですね。
いつもの受付でお金を払うどころか、無料券とポチ袋を貰ってしまいました。
一応、各階で無料券を見せる必要があるので、受付でもらう必要があります。
さて、写真展の話に話を戻します。
今回は、日本の新進作家5人の作品が展示されていました。
順路的には、以下の通りです。
- 渕上雄太さん
- 夢無子さん
- 星玄人さん
- 山上新平さん
- うつゆみこ さん
渕上雄太さんと星玄人さんは、ある特定の場所で独特な間合いで人を撮っている作品でした。
渕上雄太さんの作品
上野公園に行きかう、家族連れやカップル、大学生、女装家、路上生活者などを絶妙な距離間で撮影しています。
展示の仕方も趣向を凝らしていて、楽しかったです。
星玄人さんの作品
星さんは、夜の繁華街をテーマの写真でした。変わりゆく街並みとともにそこに生きる人たちを撮影していました。
西成は、最近は整備されてきて安全になったといいますが、写真はその安全になる前の西成を写していて、行ったことのない私には結構ショッキングでした。
夢無子さんの作品
夢無子さんの作品は、現在戦時中であるウクライナに赴き、撮影された写真でした。
展示の仕方も面白くて、プロジェクタで映し出される方式をとっていました。
ブースに入ると壁際にヘッドホンが用意されているので、それをつけて作品を見る仕組みになっています。
下調べしていなかった私は、ヘッドホンの存在に気付かず、ヘッドホンなしで最初の半分くらいを見ていたのですが、さすがに全員がヘッドホンしていることに気づき、途中からヘッドホンを手にとって、作品を見ました。
作品は、日記風な文字と写真が交互に映し出されるものでした。
また、ヘッドホンの中では現地の音源が流しだされているようでした。
あと2人なのですが、この2人は独特な個性を持っていて、とても気になる作品でした。
私が特に気になったのは、山上新平さんの方だったので、うつゆみこ さんから紹介していきます。
うつゆみこ さんの作品
とにかく個性的な作りこまれた作品が多かったです。
ちょっと綺麗にとれた作品がなかったので、作例は省きますが、パンフレットにもなっている鳥の写真もうつゆみこ さんの作品ですね。
虚構の中に本物の生が一つあるような作品だったり、生がないものを生があるように見せてみたり、すこし不気味な作品が多かったです。
感覚的には、小学生の時に夢でみた世界観に感じました。
山上新平さんの作品
最後に、山上新平さんの作品を紹介します。
5人の作家の中で私は一番印象に残りました。
こんな感じでブースはかなり暗くなっていて、写真一枚一枚にスポットライトが当たっているような感じの展示仕方でした。
作品の中に影があるというか、そんな感覚でした。
人を撮っている作品もあったのですが、顔のすべてを写すのではなくて、どこか一部を写していて、その他は影になっているような作品が多かったです。
風景もどこか抽象画の様な作品が多くて、すごく印象的でした。
この人には、どんな風に世の中が見えているんだろう。
言語化するのが難しいですが、一気にファンになってしまいました。
風景を写すときでも、自分の心に被写体がどう写っているのかをしっかり向き合わないと、と思いました。